法人の法律相談

悩むビジネスマンのイメージ

当事務所では、通常の法人の顧問ももちろん受け付けております。特に中小企業の方から、上場企業まで、以下の法律顧問もお引き受けしております。当事務所は顧問先企業様も多くいただいており、併せてご検討お願いいたします。
当事務所の特徴は、業種毎にビジネスモデルを検討し、各種業法をチェックして、顧問先のリスクをいかに減らすか、顧客毎に助言を行っております。トラブルが大きくなった場合には、訴訟等の対応も行います。その場合顧問先様は、通常の代金の20%割引で対応しています。
当事務所は法律顧問先企業から、おおまかに以下の業務を受け付けました。

契約書の作成・チェック・債権回収

Q1:当社は印刷会社ですが、債権回収を容易にするために、どのような契約書を作成すべきでしょうか?債権回収が滞った場合はどうすればよいですか?

A:本件は日常業務の基本事項として、基本契約書と個別契約書の作成から助言を行いました。

1.基本契約書と個別契約書の作成

基本契約書の重要性

取引の枠組みを明確に定義することで、取引相手との契約をスムーズに進めることができます。ここには取引の基本条件、契約期間、決済方法、債務不履行時の対応を明記します。

個別契約書の詳細

具体的な案件ごとの内容や納品期限、支払い条件などを個別契約書に記載します。このように、個別契約書と基本契約書の組み合わせにより、債権回収が滞った際にも、契約内容を証拠として活用することができます。

遅延損害金や担保設定の明記

取引先が支払いを遅延した場合に備え、遅延損害金(一定の利率)を請求できる旨や、万が一の際の担保設定を契約書に明記することで、回収リスクを軽減します。

2.債権回収方法

督促状の送付

債権回収が滞った場合、最初に行うべきは、債務者に対して支払いを促す内容証明郵便の送付です。これにより、法的に支払いを求めている記録を残すことができ、後の法的手続きにも有利に働きます。

分割支払いの交渉

債務者が一括で支払いができない場合、分割払いの交渉も一つの手です。分割条件を契約書に明記し、支払い計画を明確にしておくことで、債権の全額回収を目指します。

法的手段の検討

内容証明での対応が功を奏さない場合、次の段階として訴訟や差し押さえを検討します。訴訟を通じて債務者からの支払い命令を裁判所から取得し、債権者としての権利を強化します。

当事務所では、債権回収の全プロセスを迅速かつ確実に進めるための法的サポートを行っております。これにより、トラブルが長引かないよう、クライアントのビジネスに大きな影響を与えず、速やかな解決が可能です。
顧問先ですと、内容証明作成、督促、交渉、和解契約書作成、公正証書作成、債権回収と速やかな対応が可能です。

Q2:建築足場の企業が資金繰りに困っており、M&Aの一環として事業継続の相談を受けました。どのように助言すればよいでしょうか?

A:顧問先の紹介で飛び込み案件でしたが、スポンサーを探して、M&Aを行い、事業継続が可能となりました。

1.財務状況の確認と精査

現状の財務状況の把握

最初に企業のキャッシュフロー、負債、資産状況を詳細に把握します。資金繰りの問題が発生している場合、その原因(例えば、回収期間の遅延や不採算部門の存在)を特定することが必要です。

収益性と将来性の評価

企業の現在の収益性だけでなく、将来的な成長の可能性を評価します。M&Aにおいては、買収する側が利益を見込めるかどうかが重要です。具体的には、企業が持つ技術や市場ポジションが将来の収益性にどう影響するかを検討します。

2.事業継続のシナリオ

M&A戦略の策定

企業を買収するにあたっては、どのような形での買収が最も効果的かを決定します。例えば、完全買収、合弁事業の立ち上げ、または特定の事業部門だけを引き継ぐなど、企業の規模や目的に合わせた適切なM&Aスキームを策定します。
本件では、複数のスポンサー候補企業と面談の上、秘密保持契約、独占交渉を経て、事業譲渡契約を締結しました。

デューデリジェンスの実施

M&Aに先立ち、財務、法務、業務のデューデリジェンスを実施し、買収対象企業のリスクを洗い出します。これにより、後々発生する可能性のあるリスク(訴訟リスク、負債の隠れコストなど)を回避することができます。

3.資金調達の支援

買収資金の調達

M&Aを実行するにあたっては、買収する側の資金調達が必要となります。銀行からの借り入れ、社債発行、あるいは投資家からの出資を検討し、最適な資金調達手段をアドバイスします。

リストラクチャリングの支援

買収後に事業再生を行う場合、業務フローの見直しや人員整理などのリストラクチャリングを支援します。また、税務面や法律面でのリスクを最小限に抑えながら事業の継続を図ります。

4.法的サポートと契約締結

M&A契約の作成と交渉

買収契約においては、価格や条件の詳細を明記した契約書を作成します。M&A契約は複雑なため、専門家のサポートが不可欠です。特に、買収後の統合計画や契約の解除条件なども含めて、長期的な視点で契約を設計します。

買収完了後のサポート

買収完了後は、企業統合のプロセスを支援し、効率的な事業運営を実現します。法的なリスクや契約上のトラブルが発生しないよう、継続的にサポートを提供します。

当事務所では、M&Aに関する全プロセスをサポートし、会計士の紹介や税理士とのタイアップで、事業継続を円滑に進めるためのアドバイスや法的支援を提供いたします。
企業の成長戦略に合わせた最適なM&Aスキームの提案と実行をサポートし、事業の成功を後押しします。費用は、時間給で、100時間ほどで完成しました。

Q3:当社は食料品会社で、商品納入先のチェーン店が民事再生を申し立てました。債権は少額ですが、地元の食材を使った新しいビジネスを展開したいと考えています。可能でしょうか?

A: 災い転じて福となす。本件は得意先破綻というピンチから、M&Aを通じて、顧問先企業様は新規事業を立ち上げました。

1.民事再生手続きの確認

再生計画の確認

債権回収がどのように処理されるかを確認するため、再生計画を精査します。債権が少額であっても、民事再生手続きの中で一部回収が可能となるケースがあります。再生計画の内容を把握し、適切な対応を取ることが重要です。

法的対応のサポート

債権届出などの再生手続きに必要な手続きを円滑に進めるため、当事務所は法的サポートを提供します。適切な手続きが遅れると、債権回収が難しくなるため、速やかな対応が求められます。

2.新規ビジネス展開のサポート

和食レストランの一部権利譲渡と事業展開

当事務所では、他クライアントの成功事例として、和食のレストランチェーンの一部店舗を譲り受け、優秀な従業員を確保し、質の高い商品提供を実現して成功を収めたケースがあります。このような形で、既存の事業リソースを活用しながら新規ビジネスを展開することも可能です。

地元食材を活かしたビジネスの可能性

地元の新鮮な食材を使用した商品や料理を提供することで、地域ブランドの確立や地方創生に貢献するビジネスモデルが考えられます。特に、和食や健康志向の高い食材を使用した事業は、消費者からの関心を引きやすく、長期的な成功につながる可能性があります。

3.事業多角化の検討と資金調達のサポート

事業リソースの活用

和食レストランの店舗権利の譲受と地元食材の活用により、地域資源を最大限に活かすことができます。地元の特色を強調することで、消費者に対する訴求力を高めることができます。
資金調達の支援: 新規事業を展開する際の資金調達が課題となる場合は、銀行融資、地方自治体の助成金や補助金など、複数の資金調達手段を検討することが重要です。

4.M&Aやパートナーシップの可能性

顧客層へのアプローチを強化

M&Aにより、既存の事業基盤やノウハウを活用して、新たな顧客層へのアプローチを強化することが可能です。和食レストランの成功事例のように、企業価値の向上と従業員の確保を実現するためのパートナーシップを構築することも有効です。

法的サポートの提供

当事務所は、M&Aに関する法的手続きや交渉の支援、契約の策定など、事業成長のための全般的な法的支援を提供しています。これにより、事業拡大を円滑に進めることができます。

新規ビジネスの展開は、慎重な資金計画や法的対応が必要ですが、当事務所ではクライアントの事業成長をサポートし、地元資源の活用と事業リスクの最小化を実現します。

Q4:当社はBtoCの事業を行っていますが、消費者への勧誘時に特定商取引法で問題となる点は何でしょうか?

A:本件は、消費者ビジネス一般に当てはまる助言を行いました。

1.勧誘行為の適正化

特定商取引法の適用範囲

特定商取引法は、消費者が商品やサービスの購入を強制されるような不公正な取引を防ぐために設けられた法律です。訪問販売、電話勧誘販売、通信販売などでの取引が対象となります。特に、訪問販売や電話勧誘販売では、消費者の意思に反する勧誘行為が禁止されています。

不当な勧誘の禁止

特商法では、消費者に対する過剰な勧誘や、誤解を招く ような説明は禁止されています。例えば、契約を急がせるために「今すぐ契約しないと損をする」などの不安を煽るような発言は違法となります。また、勧誘時に事実と異なる情報を提供する虚偽説明も違法です。

事前説明義務

消費者に対しては、契約内容や重要な事項を正確かつ十分に説明する義務があります。具体的には、商品やサービスの内容、価格、支払い条件、契約解除に関する情報を明示する必要があります。契約後に問題が発生した場合、消費者はクレームを申し立てることができ、違反した企業は罰則を受ける可能性があります。

2.クーリングオフ制度

クーリングオフの適用条件

特定商取引法では、消費者が契約を解除する権利として「クーリングオフ制度」が認められています。これは、契約後8日以内(または条件により20日以内)であれば、消費者が無条件で契約を解除できる制度です。クーリングオフの対象となるのは、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供などの契約です。

クーリングオフの通知方法

クーリングオフを行う場合、消費者は書面で通知する必要があります。企業側は、この制度について消費者に明確に説明し、契約書にもクーリングオフの方法や期限を記載する義務があります。消費者に対して十分な情報を提供しない場合、契約が無効となる可能性があるため、慎重に対応する必要があります。

クーリングオフが適用されないケース

一方で、消費者が契約後すぐにサービスを利用した場合や、特定の条件が満たされている場合、クーリングオフが適用されないこともあります。例えば、消費者が事前に契約解除の権利を放棄した場合や、定期購入契約を消費者の希望で行った場合などが該当します。これらの条件についても、消費者に対して事前に十分な説明を行うことが求められます。

3.広告や販売に関する規制

誇大広告の禁止

特商法においては、商品の品質や性能、価格について誤解を与えるような広告や説明は厳しく規制されています。特に「これだけ安いのは今だけ」などの期限を強調する表現や、商品の性能を過大に宣伝するような表現は、消費者を誤解させる恐れがあるため注意が必要です。

返品制度の整備

消費者が商品に満足しなかった場合や、誤って購入した場合に備えて、返品や交換に関するルールを明確に設定しておくことが望ましいです。これにより、消費者の信頼を高め、トラブルを未然に防ぐことができます。

当事務所では、特定商取引法に関するコンプライアンス対応や、消費者保護法に基づく企業のリスクマネジメントをサポートしています。適切な法令遵守と、消費者に対する誠実な対応を行うことで、企業の信頼性とブランド価値を向上させることができます。
このほか、個別事業のリスク等を助言させていただきます。

ビジネスモデル(BtoB,BtoC)に関連する独禁法、消費者契約法、特商法の問題

Q5:当社はスーパーに製品を卸していますが、支払いが遅れることが多く、価格交渉も厳しいです。どのように対応すればよいでしょうか?

A:本件はきちんと交渉をして、契約を締結し直して、サイトを明確にすることが重要です。

1.契約内容の明確化

支払い条件の明示

まず、契約書に支払いサイト(支払期限)や支払い条件を明確に定めることが重要です。具体的な支払い期日を定め、遅延が発生した場合には、遅延損害金を設定することも有効です。

契約更新時の条件見直し

契約更新の際に、取引条件を見直すことを提案しましょう。支払い遅延や価格交渉の問題が続いている場合は、価格設定や納品量の調整も含めて交渉の材料とすることができます。

2.取引交渉の強化

独占禁止法(独禁法)の活用

スーパーが優越的な立場を利用して一方的に価格交渉を強行する場合、独占禁止法に抵触する可能性があります。特に、買いたたきや一方的な取引条件の押し付けが問題となる場合、公正取引委員会に報告することが検討されます。取引先の行動が不公正な場合、法的措置を講じることができます。

下請法の適用

下請取引に該当する場合、スーパーが支払いを遅らせる行為や一方的な値下げ要求は、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反する可能性があります。下請法では、取引先の支払い遅延や不当な値下げ要求を禁止しており、違反した場合には、取引先に対して是正措置が求められることもあります。

3.法的手段の検討

支払い遅延への対応

支払いが長期間滞る場合、法的措置を取ることも選択肢の一つです。内容証明郵便で督促した後、さらに回収ができない場合には訴訟を提起し、取引先の資産に対する差し押さえを検討します。

契約の解除

支払いが滞ることが常態化している場合、取引を継続することがリスクとなります。契約書に定められた解除条項に基づき、適切なタイミングで契約を解除し、他の取引先を模索することも考えられます。

当事務所は、スーパーとの交渉に同行して、代金支払について適正な再契約を締結することに成功しました。費用は顧問契約に加えて、契約的決のための時間給を10時間程度いただきました。

Q6:当社は出版社で、取引先の支払いが6ヶ月以上遅れる場合があります。また、新たな取引条件が厳しく、独禁法上問題がないか懸念しています。

A:事業継続を前提とすると難しい面もありますが、独禁法上の相談も、恐れずしてみることをおすすめします。

1.独占禁止法(独禁法)違反の可能性

優越的地位の濫用

取引先が優越的な立場にある場合、その地位を利用して不当な条件を押し付けたり、支払いを意図的に遅らせたりする行為は、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります。

特に、価格の一方的な引き下げや不公正な取引条件の押し付けは、独禁法違反となり得ます。こうした行為が疑われる場合、公正取引委員会への相談や是正勧告の請求を検討することが必要です。

2.支払い条件の再交渉

支払い遅延への対応

支払いが6ヶ月以上遅れる場合、まずは契約書で定められた支払条件を再確認し、遅延損害金の請求を含めた対応を検討します。また、支払い遅延が繰り返される場合、取引先に対して支払期日を厳守するよう改めて確認し、契約書に具体的なペナルティ条項を盛り込むことが有効です。

支払いサイトの短縮交渉

取引条件の厳しさが業務の運営に悪影響を与える場合、支払いサイト(支払期限)を短縮することや、事前支払い、分割払いの交渉を行うことができます。取引先の支払能力や取引条件を確認した上で、現実的な解決策を提案します。

3.取次に関連する問題点

取次制度の見直し

出版業界における「取次」は、取引先との関係を円滑に保つために用いられることが多いですが、取次を介した場合でも支払い遅延が発生することがあります。特に、出版社に不利益な条件が強要される場合、取次業者を通じた交渉や、業界団体の協力を得ることも有効です。

独禁法との関係

取次を介しても、不当な価格設定や支払い条件が取引先により一方的に決定される場合、独禁法に抵触する可能性があります。独禁法の枠組みに基づき、取次との取引条件の適正化を求めることも場合により必要です。

4.法的対応

訴訟や調停の検討

支払いが遅延し続け、交渉で解決が難しい場合、訴訟や調停を検討します。法的手段を取ることで、取引先に対するプレッシャーをかけることができるため、未払いの回収や取引条件の見直しを促進する手段として有効です。

5.持続可能な取引条件の確立

長期的な取引関係の見直し

取引先が再度問題を引き起こすリスクを考慮し、持続可能な取引条件を確立することが求められます。具体的には、支払い遅延や取引条件の悪化を未然に防ぐために、契約の更新時期に柔軟な交渉を行い、企業にとって有利な取引条件を確立することが重要です。

支払い遅延や不当な取引条件の強要は、独禁法や下請法に違反するケースが多いため、問題が続く場合は、法的手段を含めた対応を迅速に検討することが必要です。ただ、これから先も取引が難しいところですが、当事務所では、クライアントの事業に合わせた戦略的な対応をサポートいたします。

Q7:当社はBtoCの事業を行っていますが、消費者への勧誘時に特商法上で問題となる点は何ですか?

A:本件は、より具体的に業法の問題もありますが、Q7では、特商法を中心に解答します。

1.勧誘行為の適正化

消費者の意思に反する勧誘の禁止

特定商取引法では、消費者に対して無理な勧誘を行うことや、誤解を招くような説明をすることが禁止されています。例えば、消費者に商品購入の意図がないにもかかわらず、強引に契約を締結させることは違法です。特に、訪問販売や電話勧誘などでは、消費者の意思を無視した勧誘は大きな問題となります。

2.誇大広告や不実告知の禁止

商品の説明における誤解を招く表現

商品やサービスの内容、効果、価格について、消費者に誤解を与えるような情報提供は避けるべきです。不実告知や誇大広告は、特定商取引法に違反するだけでなく、消費者の信用を失う原因にもなります。

3.契約の取り消し権(クーリングオフ制度)の遵守

クーリングオフ制度の説明義務

消費者は、特定の取引形態において一定期間(一般的には8日間)以内に、理由を問わず契約を解除できる権利(クーリングオフ制度)を持っています。

この制度は訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法などに適用されます。勧誘時には、消費者にこの権利について正確に説明し、契約書にもその旨を明記する必要があります。

契約解除の手続きが簡単にできることを明示し、消費者が安心して取引できる環境を整えることが求められます。

4.契約書・説明書類の整備

書面交付の義務

勧誘時には、契約内容や商品の詳細、料金、クーリングオフに関する情報を明確に記載した書面を消費者に交付することが義務付けられています。

この書面を適切に作成し、契約時に必ず消費者に渡すことが求められます。消費者が契約内容を十分理解し、後日問題が発生した際に適切に対応できるようにすることが重要です。

5.罰則と法的リスク

特定商取引法違反の罰則

特定商取引法に違反した場合、行政処分や罰則が課せられる可能性があります。また、消費者とのトラブルが長引くと、企業の評判を損なうことにも繋がります。従業員に対して適切な教育を行い、法的リスクを未然に防ぐ体制を整えることが重要です。

特商法違反は行政から処分が科される可能性があります。速やかな対応が必要です。

労務問題(会社側の視点)

Q8:当法人は福祉事業を営んでおり、従業員が同僚の悪口をネットで書き込み、入居者にも読まれているようです。どのように対応すればよいでしょうか?

A:本件は労務問題の他に、ネット上の誹謗中傷も絡んでいた事案でした。以下のような手順で問題を整理しました。

1.ネット上の書き込み内容の確認

書き込みの内容と影響の確認

まず、従業員が投稿した内容を確認し、それが事実に基づくものか、または誹謗中傷にあたるものかを判断します。書き込みが他の従業員や入居者、さらには会社の名誉を傷つけ、業務に悪影響を及ぼしている場合には、早急に対応が必要です。

就業規則に基づく調査

従業員がインターネット上で行った行為が、就業規則や会社の内部規範に違反しているかどうかを確認します。多くの企業では、インターネット上での不適切な行動を規制するガイドラインを設けています。

2.ガイドラインやSNSポリシーの整備

社内ルールの見直し

従業員がインターネットやSNSを適切に利用できるように、社内でのガイドラインを整備することが重要です。特に、従業員が会社の名誉を毀損したり、業務に悪影響を与える行為を行わないように、SNSやインターネットの利用に関するルールを策定し、全従業員に周知徹底します。

教育の徹底

従業員に対して、ネット上での発言がもたらす影響についての研修を実施します。従業員が自己の行動に責任を持ち、企業の評判を守るための行動を取るよう促すことが必要です。

3.書き込んだ従業員等への懲戒処分の検討

懲戒処分の適用

書き込みの内容が企業の名誉や業務に重大な悪影響を与える場合、就業規則に基づいて懲戒処分を検討します。処分の内容は、口頭注意や書面による注意、減給、最終的には解雇まで幅広く考えられます。

ただし、処分を下す前に、従業員からの事情聴取を行い、書き込みの背景を理解した上で、公平な判断を下すことが重要です。

4.入居者への対応

入居者の信頼回復

入居者が問題の書き込みを読んでしまっている場合、早急に状況を説明し、適切な対応を行っていることを伝え、入居者の信頼を回復するための措置を講じる必要があります。場合によっては、公式の謝罪や誤解を解くための広報活動も検討します。

5.法的対応の検討

名誉毀損や業務妨害に対する法的措置

書き込みの内容が事実無根であり、企業の名誉を著しく毀損するものであれば、法的手段も検討します。具体的には、名誉毀損罪や業務妨害罪に基づいて損害賠償請求や刑事告訴を行うことが可能です。企業の評判や信頼を守るために、早めの対応が求められます。

本件ではネット上の書き込みが事実でないことが判明しましたので、書き込み者に対する書き込みの削除、損害賠償と、懲戒処分を行いました。当事務所では、こうした事態に対する法的対応や従業員の教育支援を行い、企業のリスクを最小限に抑えるためのサポートを行っています。

会社法に関連する問題(株主総会、取締役会、ガバナンス体制の問題)

Q9:当社はこれまであまり株主総会をきちんと開催したことが無かったのですが、業績も拡大してきたので、社長交代を機にきちんと株主総会を開催することにしました。まず何から準備をしたらよいでしょうか。また同族経営から、株式を一部従業員と取引先に保有してもらうようにしました。株主総会の留意点を教えてください(非上場企業)。

A:会社は規模に応じた経営が必要です。会社が大きくなるとき、それに見合う態勢が必要です。面倒ですが、きちんと株主に関する業務を遂行していきましょう。

株主総会を円滑に開催するためには、法的な手続きや準備が必要です。非上場企業の場合でも、会社法に従って株主総会を開催し、必要な議案を処理することが求められます。

また、同族経営から従業員や取引先が株主となった場合は、ガバナンス体制の見直しや株主の関与を強化することが重要です。以下に、具体的な手順と留意点を詳しく説明します。

1.株主名簿の確認と整備

株主名簿の確認

株主総会を開催する前に、まずは株主名簿を確認し、最新の株主構成を把握します。株式の譲渡や新たな株主の追加が適切に反映されているか確認します。特に、同族経営から株式を従業員や取引先に譲渡した場合、新しい株主が適切に登録されているかどうかが重要です。

株主の議決権の確認

株主総会では、各株主が議決権を行使します。議決権は保有株数に応じて割り当てられるため、株主名簿に基づいて、各株主の議決権を正確に把握することが必要です。

2. 株主総会の開催通知

開催通知の送付

株主総会を開催するためには、株主に対して総会の開催日程や議題を通知する必要があります。非上場企業であっても、会社法に基づき、総会の2週間前までに株主に対して書面で通知を送付するのが一般的です。通知には、議題の詳細、議案の内容、および議決権行使の方法が記載されていることが重要です。

株主の出席確認と委任状の準備

株主が総会に出席できない場合、委任状による議決権行使が認められます。出席できない株主からの委任状を事前に集め、議決権行使に問題がないよう準備しましょう。

3.総会の議題の設定と議案の準備

総会の議題設定

株主総会では、業績報告、取締役選任、役員報酬の決定、会社の方針などが主な議題となります。社長交代を行う場合、新社長の選任議案を含める必要があります。株主に対して、これらの議案を明確に説明できるよう、事前に資料を準備しましょう。

取締役の選任と報酬

同族経営から株式を一部従業員や取引先に保有させた場合、新たな株主が取締役の選任や報酬に関与する可能性があります。取締役の選任は、企業のガバナンスに直結する重要な議題です。株主が納得できる形での議論を行うことが必要です。

利益配当や株主還元策の検討

業績が拡大しているのであれば、株主への配当や還元策を検討することが株主の満足度向上につながります。利益配当の方針や計画を総会で報告し、株主の理解を得ることが大切です。

4.株主総会の進行と議事録作成

議事進行の準備

総会当日は、議長が円滑に議事を進行できるよう、議事進行の台本や資料を準備しておきましょう。議案については、簡潔かつ明確に説明し、株主の質問や意見に対応できる体制を整えます。

議事録の作成

総会終了後、議事録を作成し、法的に必要な保存期間に従って保管します。議事録には、総会での決議内容や議決権の行使状況などを正確に記録します。

特に、株主総会で決定された事項は、後日のトラブルを避けるためにも、書面として確実に残しておくことが重要です。

5.同族経営からのガバナンス体制の見直し

新たな株主との関係構築

株式を一部従業員や取引先に譲渡した場合、これまでとは異なるガバナンス体制が求められます。新しい株主の意見を反映し、ガバナンスを強化するために、定期的な株主との対話や情報提供が必要です。

ガバナンスの透明性の確保

非上場企業であっても、ガバナンスの透明性を確保することは、企業の健全な成長に不可欠です。取締役会の定期開催や役員の責任明確化、業績報告の適切な開示などを通じて、透明性を高め、株主からの信頼を築きましょう。

6. 株式譲渡や取引先への配慮

株主構成の変化による影響

株式を従業員や取引先に譲渡した場合、これまで以上に取引先や従業員との関係が密接になります。これらの新たな株主に対しては、適切な説明や配慮を行い、株主総会での意思決定に参加できるようにすることが重要です。

従業員株主には、会社の将来に関する意見を表明できる場を提供し、従業員のモチベーション向上にもつなげます。

非上場企業でも株主総会を適切に開催することは、企業ガバナンスを強化し、株主の信頼を得るために重要です。特に、株主構成が変わった場合や、業績拡大によるガバナンス強化が求められる場面では、事前の準備や議題の設定が成功の鍵となります。

当事務所では、株主総会の準備から進行、議事録作成、ガバナンス体制の見直しに至るまで、総合的な法務サポートを提供し、企業が健全な成長を遂げるためのお手伝いをいたします。

これら業務は、当法人と顧問契約を締結し、最初の年は株主総会開催1式着手金20万〜、成功報酬・登記20万〜で承りました。翌年からは総務の方に業務を覚えていただきました。

Q10:当社は取引先から役員を受け入れることとなり、取締役会改革を進めています。オーナー社長が株式を保有する企業から、サッカー場を譲り受けて、自社で経営することとなりました。留意点を教えてください。

A:本件は取締役会改革の問題ですが、利益相反、とりわけ競業取引について留意が必要です。 取引先から役員を受け入れ、取締役会改革を進める際には、取締役会のガバナンス体制強化や利益相反のリスクに対する対応が重要です。また、サッカー場の譲渡を受けて経営する場合、不動産やスポーツ施設の運営に伴う法的・実務的な課題にも注意が必要です。以下、具体的な留意点を挙げます。

1.取締役会の構成とガバナンスの強化

取締役の選任

取引先から役員を受け入れることで、取締役会に新しい視点を導入できますが、選任された取締役が企業全体の利益に資する判断を行うことを確認することが重要です。

ガバナンスの透明性

取締役会改革の一環として、取締役会の運営ルールや議事録の適切な作成、外部監査人の活用などを通じて、取締役会の透明性を高めることが求められます。

利益相反の回避

取引先から役員を受け入れる場合、利益相反の問題が生じる可能性があります。取締役が取引先の利益を優先するような決定を行わないよう、取締役会の意思決定過程において、公正かつ透明なプロセスを徹底することが必要です。

2.サッカー場の譲渡に伴う法的・経営的留意点

契約書の精査

サッカー場の譲渡契約書を精査し、譲渡条件や権利義務関係、施設のメンテナンス責任などが明確に規定されているかを確認します。特に、譲渡後の運営において譲渡企業との責任分担や競業避止義務の有無に注意が必要です。

不動産管理の法的義務

サッカー場の運営には、不動産管理法やスポーツ施設運営に関する法規制が適用されます。例えば、施設の安全管理、利用者への適切なサービス提供、労働法規の遵守などが求められます。

スポーツ施設の運営許認可

サッカー場の経営には、地方自治体や関係機関からの許認可が必要な場合があります。施設の利用目的に応じた許可を取得し、法的に問題がないか確認することが重要です。

財務・リスク管理

サッカー場の運営には、収益管理や施設維持のコストも重要です。資金計画や保険の適用を含めたリスク管理を行い、長期的な経営計画を策定します。

本件はIPO(株式公開)をへて、社会貢献のためスポーツ施設を開設したオーナーから、外部から役員を受け入れる場合に事業を譲受する際に、より透明性のある取締役会体制を構築する事案です。継続的な顧問契約をいただき、時間給で10時間程度の助言を経て、競業取引の問題をクリアする体制を構築できました。

© 弁護士法人日新法律事務所